安楽死と尊厳死を区別して議論をしたほうが良いのでは
最近頻繁に安楽死という言葉が聞かれるようになった。
少し危険な兆候だと思うので、何が危険かか書いておこうと思う。
安楽死とは「苦痛を訴えている患者に同情して致死薬を与えて安らかに死なせる殺人」であり、法律に触れる行為。
4要件が必要とされている
- 患者に耐えがたい肉体的苦痛がある
- 患者の死が避けられず、死期が迫っている
- 患者の苦痛の除去・緩和の方法を尽くし、他に代替手段がない
- 生命の短縮を承諾する患者本人の明らかな意思表示がある
それに対し尊厳死とは「患者が不治の病で末期になったとき、自分の意志に基ずいて意味のない延命措置を中止して自然な状態で迎える死」である
その意思を伝える方法が、生前発効の遺言書と言われる「尊厳死宣誓書」(リビング・ウィル)だ。その内容は
- 私の傷病が現代医学では不治の状態で死が迫っている場合、単に死期を引き延ばすだけの延命措置はお断りいたします
- ただしこの場合、苦痛を和らげるためには、十分な緩和医療を行ってください
- 回復不能な持続的植物状態に陥ったときは、生命維持措置を外してください
ちゃんと区別して話題にしているのなら良いが。
問題点2、ひっ迫している社会保障費の解決方法と関連して話題になっていることが多い
現在の日本では医療費に占める高齢者医療の比率が高いことは事実だ。社会保障費が現役世代を苦しめているのも事実だ。
だから終末期医療費を抑えるために安楽死(尊厳死と混同してる場合もある)を勧めようという意図が透けてみえるときがある。とても危険だと思う。
ひっ迫する社会保障費の解決方法は医療制度設計の方でなされるべきだと思う。医療制度設計の改革については「日本の医療:島崎謙治著」が詳しい。
私の意見
安楽死と尊厳死をちゃんと区別して議論し、尊厳死について気軽に話し合うべきだと思う。
だいぶ尊厳死に対して理解が広まっているとは言え、まだまだ家族と話し合ってる人は少ないのではないかなと思う。
「尊厳死宣誓書」というとものものしくて拒否感が出る人少なくないが、意外とそれに代わるものが自治体から出ているのは知られているのだろうか。
例
人生会議手帳(人生の最終段階に向けて医療・ケアに関する話し合い)
エンディングノート・私の整理帳~残された人が困らないために~